会長挨拶

会長挨拶

日本は、世界に前例のない超高齢社会へと突入しました。平成23年10月の「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」の報告書において「高齢期に向けた備え等を『人生90年時代』を前提としたものへ転換させ、全世代が参画した、豊かな人生を享受できる超高齢社会の実現を目指す必要がある」との認識が示されています。
幸せなセカンドライフには健康が不可欠ですが、年齢を重ね、介助や支援が必要になった際には、本人が幾ら望んでも「やりたいことを自由にすること」は難しくなり、心の健康さえも危うくなります。自由に“動きたい”“食べたい”という、人間としての根源的な欲求に寄り添うために、「寝たきり」や「誤嚥性肺炎」などを予防してこそ、本当の意味でQOLを維持できると私どもは考えています。
本協会は、質の高いマッサージ・リハビリテーションと誤嚥性肺炎を予防するためのメソッドを高齢者の皆様に提供することで、心身の機能回復を通じて質の高い人生を送って頂けるお手伝いをすることを使命と考えています。
超高齢社会の進展によって、社会保障制度の逼迫、受け入れ施設の不足等の社会問題の解決は、国の重要課題であるとともに国民が主体となって取り組むべき課題です。本協会では、高齢者住宅・施設に入居されている高齢者の皆様の健康を維持・回復を支援しつつ、入居者様の生活が安定して継続することで、それら施設を運営するオーナー様の経営にも貢献できると考えています。入居者様の健康、施設オーナー様の経営の安定が達成されることで初めて、本協会の理念である「心身の健康をサポートし、質の高い人生の実現と健全な社会の発展に貢献する」に近づけると確信します。
本協会は、この理念の達成に一丸となって取り組む所存です。皆様の温かい御支援、御鞭撻を賜りますことを何卒宜しくお願い申し上げます。





協会概要

協会名称 日本在宅マッサージリハビリテーション協会
所在地 技術研究所:順天堂大学 医学部公衆衛生講座内
事務局/研修所:〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-33-2
電話番号 03-5567-3310
会長 谷川 武
順天堂大学医学部公衆衛生学講座 主任教授

マッサージ・リハビリについては、「関節の可動領域を広げ、筋力の維持・強化に有効である」として早くから評価しており、また、誤嚥性肺炎の予防プログラムについても、「誤嚥の防止だけではなく、脳血管障害後のリハビリまで考えて構成されている」と、その効果、価値を高く評価している。

日本在宅マッサージリハビリテ-ション協会の活動内容

当協会は、マッサージ・リハビリテーションに対する高い技術・知識を持った按摩マッサージ指圧師、誤嚥性肺炎予防の最新の知識を持った施術者の養成、及びそのスキルを持った施術者の施設への派遣を行っています。ご家族様・ご親族様、担当医、施設担当者様との連携に基づく適切な施術を行い、その上で利用者様の各種症状の回復を通してQOL(生活の質)の向上を図り、入居時よりも更に元気になっていただくためのお手伝いをさせていただいています。




医療がいかに発達した現代であっても、年をとれば何らかの病にかかることは避けられません。むしろ生活が便利になった分、慢性的な運動不足に陥り、また食生活が欧米化したために悪性新生物(がん)や心疾患、脳卒中といった生活習慣に起因する病が多く見られるようになりました。一方、病に見舞われたとしても、治療薬の進化や早期発見が可能になったために、長期にわたり治療と向き合うことができるようになり、患者様のQOL(生活の質)を下げることのない質の高い医療が求められるようになりました。
高齢者の方々にとってリハビリテーションは医療の重要な一分野であり、特に在宅介護や在宅療養が可能な方には、「日常生活動作(ADL)をできるだけ可能にする」、「再発を予防する」、「免疫力を向上させる」などの目的からも非常に重要なものと言えます。




  •  医師の役割:患者の人生を良くすること:QOL (Quality of Life)=生活の質
  •  理学療法士の役割:患者の日常生活を良くすること:ADL (Activities of Daily Living) :日常生活動作
  • マッサージ師の役割:患者の患部を良くすること。特に求められることは、リハビリの傷害となる疼痛を緩和すること:PCR (Pain Control to Rehabilitation )=疼痛緩和
あん摩マッサージ師は、今まで「理学療法・リハビリテーション」に関する知識、技術を持ち得なかったため、医師、理学療法士と連携してリハビリテーションに加わることが出来ず、在宅医療の現場であん摩マッサージ師に求められるPCR (Pain Control to Rehabilitation=疼痛緩和)を行なうことができませんでした。 日本在宅マッサージリハビリテーション協会では、医師、理学療法士と連携することのできる知識と、現場で求められるPCRの技術に優れた専門家を育成することが社会的に必要であると捉え、リハビリ機能回復士資格制度を創設し、教育事業に乗り出しました。
※ リハビリ機能回復士は、在宅医療現場の中核を担い、PCR及び医療連携を行えるための知識、技術を有するあん摩マッサージ師の資格です。


日本在宅マッサ-ジリハビリテ-ション協会(以下、協会)では大学や研究機関との提携により、さまざまな疾患や症状に効果的なマッサージ・リハビリテ-ションを研究し、理学療法的なエビデンスに基づいた質の高いマッサ-ジ・リハビリテーションを在宅という環境で提供しています。
初期評価に基づきリハビリメニュ-を作成、施術を行い、改善状況を定期的に評価してゆきます。評価結果は、ご本人、ご家族様、施設担当者様、担当医、等に報告し、次の目標に向けた治療方針を立ててゆきます。
初期評価は、「全身状態の観察」「バイタルサインの確認」「日常生活動作(ADL)の確認」「疼痛の部位・程度と原因」「拘縮の有無と程度」「関節可動域・筋力・麻痺状態」などを細かく評価し、リハビリメニュ-を作成します。
リハビリメニュ-に基づき行われる施術の内容は、マッサージによる筋緊張や痛みの緩和、それに伴う関節可動域の拡大はもちろん、筋骨格系や神経系へのアプローチによる拘縮の改善、麻痺側の運動の再教育、筋力強化や日常生活動作(ADL)の訓練、等となっています。




施術開始後に行う評価は第三者(施術者とは別の者)が定期的に行い、施術状況と併せてご本人・ご家族様・施設担当者様・担当医への報告を徹底しています。評価の都度、マッサージ・リハビリテーションを行う目的とゴール設定を行い、確実にご利用者様の状態が改善していく施術を目標にしています。
また、施術者は定期的に知識・技術面の研修や、問診能力も含めたコミュニケーション面の研修も行っており、日々実務能力を磨きながらご利用者様に接しています。




在宅での介護や療養は誰もが望んでいます。しかし、在宅になってからは十分なリハビリテーションが受けられず、生活上困難なことが増えたり、転倒を恐れた結果寝たきりになってしまう、といったケースが良くあります。これらは十分なリハビリテーションと正しい生活指導さえ受けていれば避けられる場合がほとんどです。
協会では、在宅であっても理学療法的に検証されたご満足のいくマッサージやリハビリテーションをご提供し、それをご利用者様やご家族様が望む形で継続できる、このことを一つの大きな目標として活動しています。





2011年厚生労働省が発表した人口動態調査における死亡率で肺炎が脳血管疾患を抜いて第3位となりました。20年以上前の死亡率と比べてみると肺炎は脳血管疾患の半分以下でしたが、今や脳血管疾患を抜き、超高齢化社会に突入しようとしている日本においては死亡率がさらに上昇することは目に見えています。
肺炎の75%以上が筋力の低下した高齢者であり、その内の70%が誤嚥(細菌が唾液や胃液とともに胃ではなく気管に入ってしまう)により肺炎を発症する、誤嚥性肺炎と言われています。誤嚥の症状としては、むせる、痰が絡む、声がかすれる、食べこぼす、口の中にため込む、飲み込むのに時間がかかる、夜咳が止まらない、食事が遅くなった、体重が落ちてきた、口呼吸をする、などがあげられます。
誤嚥性肺炎を発症した場合、通常の肺炎と同じ治療が行われ、一時的には良くなりますが再発を繰り返してしまいます。その対策として、直接身体に栄養を送り込む「経管栄養」、「胃瘻」などの処置が採られますが、実際身体に取り込まれる栄養は口から直接摂取した場合と比べ、格段に落ちてしまいます。このことは食事を楽しめない、QOL(生活の質)が著しく低下する、ということだけではなく、人間の一つの機能を奪うことにより、栄養状態の低下、免疫力の低下が起こり、老化を早めてしまいます。それでも誤嚥性肺炎は予防できません。それは、誤嚥という根本治療が行われていないからです。














主な死因別死亡数の割合
肺炎は日本人の死亡原因の第三位です。
『平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況』厚生労働省

年齢別死因の構成割合
年齢別の死因の比率を見ると、肺炎は高齢になるほど、その比率が高くなっています。肺炎は、高齢者ほど予防に力を入れるべき病気です。
『平成21年人口動態統計年報』厚生労働省











当協会では、会長を務める順天堂大学大学院の谷川武教授監修のもと、誤嚥予防の為に開発された【誤嚥防止メソッド】を用い、「誤嚥」そのものを防止することで「誤嚥性肺炎を予防」することに取り組んでいます。
高齢者には、「今は正常だが今から誤嚥を予防したい方」から、「既に自分で食べることができなくなっている方」まで、幅広い方々が存在します。
誤嚥防止は、「問診」から始め、「行動観察」、「全身状態の観察」、「食事の状態観察」、「姿勢観察」、「口腔周囲の状態の検査」、等を行い、その結果を専用シートに記入し、検査結果の程度に応じ5段階に分類します。その分類結果を、利用者様、ご家族様、担当医師、施設担当者様にご報告・ご相談させていただき、3か月をリハビリ期間とした、その方の為の「リハビリメニュー」を作成します。そのメニュ-に従いリハビリを行いながら、毎月検査で状態を確認させていただき、その都度の状態に合わせた「リハビリメニュー」に作り替えていきます。3か月を目安としてリハビリを継続し、3か月経過した時点で検査結果を踏まえ、その後の方針をご相談させていただくこととなります。



誤嚥防止メソッドは3か月をワンクールとしています。
この期間でリハビリを卒業される方、その後も継続される方様々ですが、自らの口で楽しく食事が出来ることを目指します。
自らの口で食べる幸せを感じることは人間の根源的な欲求に近づくことであり、徐々に活力や若々しさを取り戻すことにつながります。
それに伴い皆一様に笑顔になり、明るさが増し、家族との会話が増えることによりQOL(生活の質)は格段に向上していきます。延いては、食べる楽しさ・喜びが、生きることの愉しさ・喜びへとつながっていけばと願っております。

また当協会の活動を通じて、微力ながら施設様の更なるブランディングの向上へと繋がれば望外の喜びです。

 リハビリ機能回復士養成講座の開催
  • 2級講座:リハビリテーションの基礎・理論編
  • 1級講座:関節拘縮の緩和などリハビリテ-ションの基礎技術
  • マスタ-講座:痛みに対するアプロ-チなどのリハビリ応用技術を学び、
    修了者には「リハビリ機能回復士」資格が与えられます。
介護保険で行う在宅リハビリテーションには、頻度的に限界があり、どうしても急性期病院やリハビリ病院でおこなっていたリハビリテーションほど十分なリハビリを受けられないのが現状です。
そこで、我々は理学療法士の行うリハビリテーションに準ずるリハビリテーションを行える施術家、医師や理学療法士と共通認識を持ち、連携を取りながら、一貫した在宅サービスを提供できる施術家、具体的には、按摩マッサージ指圧師に理学療法の知識・技術を落とし込み、医師・理学療法士の指示のもと、理学療法士の行うアプローチに準ずるものを(医療保険で行う)在宅マッサージで取り入れ、利用者様がより多くのリハビリの機会を得られ、QOLを高めるお手伝いをすることを目的として当講座を開催しています。

 誤嚥防止指導員養成講座の開催
  • 誤嚥予防改善講座:「嚥下機能」・「誤嚥の原因」・「誤嚥改善の為の機能訓練」などについて学びます。
  • 誤嚥防止指導員養成講座:「誤嚥予防改善講座」を修了された方を対象に行います。
    誤嚥予防改善講座の復習及び「嚥下機能の検査方法」、「嚥下機能改善のための機能訓練の実習」などについて学びます。修了者には「誤嚥防止指導員」資格が与えられます。
肺炎による死亡率が脳血管障害を抜いて2011年より第3位になり、肺炎による死亡者の95%は高齢者(65歳以上)、そのうち75%が誤嚥性肺炎と言われております。また、朝日新聞デジタル(5/7付け)によれば、サービス付き高齢者住宅(サ高住)における死因の第2位が誤嚥によるものとされております。
誤嚥は嚥下機能の低下により起こりますが、加齢による嚥下機能の衰えは早い段階から取り組むことで防止することが可能で、また訓練により回復することができます。

 高齢者施設への施術者の派遣
利用者様の体況をモニタリングするところから始め、それに基づき施術方針を立て施術を行います。引き続き定期的にモニタリングを行い、ご本人様・ご家族様・施設に現況報告をおこないます。

 各種技術の開発・研究
絶えずより効果の見込めるマッサ-ジリハビリテ-ション技術や、誤嚥防止に関する技術の研究・見直しを行っています。
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